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院長コラム

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    2026/01/13

    健診で「血圧が少し高め」と言われたら

    〜循環器専門医の院長が解説〜

    会社や区の健診で「血圧が少し高め」と言われて受診される方は、南千住でも年々増えています。症状が何もないため放置されがちですが、血圧の上昇は“静かに進む動脈硬化”のサインであり、心臓・脳・腎臓の将来のイベント発症リスクに直結します。ここでは、循環器内科専門医として高血圧の基礎と対処法をわかりやすく解説します。

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    ■ 高血圧の定義と「少し高め」の本当の意味

    日本高血圧学会(JSH 2023)では、

    •診察室血圧:140/90mmHg以上
    •家庭血圧:135/85mmHg以上

    を高血圧としています。
    健診の結果票には“要観察”や“要精査”と書かれることがありますが、血圧は日によって変動しやすく、緊張・睡眠不足・カフェインなどの影響も受けます。そのため、 「健診で正常でも家庭血圧が高い」、あるいは 「健診で高くても普段は正常」 ということもあります。
    このため専門医としては、まず家庭血圧を正しく測ることを重視しています。
    特に40〜60代は「白衣高血圧」や「仮面高血圧」が多く、自分では気づかないうちに高血圧が進んでいることも珍しくありません。
    現在は一般的な家電量販店で5000円~1万円程度で質の高い血圧計を購入できるため、将来的な健康への投資として是非ご家庭に1台のご購入を検討ください。
    精度を考えると、できれば手首型血圧計よりも腕のマンシェットタイプの血圧計をお勧めいたします。

    ■ 血圧が高いと何が起こるのか 〜“静かに進む動脈硬化”〜

    高血圧そのものは痛くもかゆくもありません。
    しかし、血管の内側に常に強い圧がかかることで、以下の病気につながります。

    脳卒中(脳出血・脳梗塞)

    心筋梗塞・狭心症
    ➤ いずれも‘脳’と‘心臓’を栄養する大事な血管が破れたり、傷み詰まることで発症します。ひとたび起こるとその血管が栄養する臓器の領域(例えば脳の前頭葉や心臓の右側など)を梗塞→壊死させてしまいます。
    一刻も早く、カテーテル治療などで血管を修復させる必要があります。(医療用語では血行再建といいます。)

    心不全(特に高齢者に多い)
    ➤ 心臓や心臓の部屋を隔てる扉の役割を持つ‘弁’も血管の一部であり、高血圧による過度な血管ストレスにより心臓の機能に異常をもたらします。

    腎機能の低下(慢性腎臓病)
    ➤ 血液から尿を作る腎臓は微細な血管が緻密に多く存在する臓器であり、高血圧が持続することで傷みやすくなります。

    大動脈瘤(血管のコブ)の進行
    ➤ コブを構成する血管はもろいため拡大しやすく、まるで風船のようにサイズがある程度大きくなると破裂するリスクが高くなります。

    特に脳卒中と心筋梗塞は、発症すると生活が大きく変わる疾患です。
    健診での小さなサインを見逃さないことは、将来の生活の質を守ることにつながります。

    ■ 家庭血圧で確認したい“3つのポイント”

    当院では、健診異常があった方には家庭血圧の記録をお願いしています。
    見るべきポイントは次の3つです。

    1.朝の血圧が135/85mmHgを超えていないか
     朝の血圧は脳卒中・心筋梗塞の発症と強く関係します。
    起床後、トイレに行き食事をする前に座り一呼吸おいてから血圧を計ってください。

    2.夜の血圧も上がっていないか
     夜に高い方は「夜間高血圧」と呼ばれ、心臓病のリスクが高まります。

    3.ばらつき(変動)が大きくないか
     大きな変動は血管への負担が強く、動脈硬化が進みやすくなります。
    家庭血圧の測り方は意外と間違いが多いため、
    受診時にご持参いただければ、専門医が正しく評価し、改善点をお伝えします。

    ■ 「生活習慣で改善できる部分」と「薬の役割」


    高血圧は、生活習慣と密接に関係します。
    とくに重要なのは以下のポイントです。
    塩分は1日6g未満が目標(JSH推奨)
    適度な有酸素運動(散歩・自転車など)
    体重管理(特に内臓脂肪の改善)
    十分な睡眠
    過度の飲酒を控える
    ただし、生活改善だけでは十分に下がらない場合には、薬が必要です。
    薬と聞くと抵抗を感じる方もいますが、近年は効果が高く副作用が少ない薬が多く、動脈硬化の進行を確実に抑えることができます。
    私は糖尿病学会所属 循環器内科専門医として、生活習慣病全体を見ながら、患者さんの将来の健康を守る治療を重視しています。

    当院が大切にしていること 〜“かかりつけ医としての伴走”〜

    当院のある南千住は家族で通院される方が多く、「長く安心して任せられるかかりつけ」を求める方が多い地域です。
    当院では

    •予約が取りやすく 
    •決済がわかりやすくスムーズで
    •スタッフが親切で相談しやすい
    •内科・皮膚科・整形外科があり、ご家族の健康を一元管理できる

    という“総合クリニック”の強みを活かしながら、
    生活習慣病に関しては私の強みでもある分野であり、専門医として深くサポートしています。
    「健診で少し高めと言われた」だけで受診してよいのか?
    もちろん大歓迎です。
    健診結果をお持ちいただければ、現在のリスクと今後の対策を丁寧にお話しします。

    ■ まとめ


    血圧の異常は症状が出にくく、気づかないうちに動脈硬化が進みます。
    健診の「少し高め」は、将来の病気を防ぐ最初のサインです。
    南千住で“生活習慣病のかかりつけ医”をお探しの方は、
    どうぞお気軽にご相談ください。

    参考文献

    1.日本高血圧学会 高血圧治療ガイドライン2023(JSH 2023)
    2.Whelton PK, et al. “2017 ACC/AHA Guideline for the Prevention, Detection, Evaluation, and Management of High Blood Pressure in Adults.” Hypertension. 2018.



    文責:茂澤メディカルクリニック南千住
    院長 茂澤 幸右(糖尿病学会所属・循環器内科専門医)