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院長コラム

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    2026/03/11

    痩せているのに糖尿病になる人はなぜいるのか? ― 日本人に多い「隠れ糖尿病」の正体 ―

    外来でよくある質問があります。

    「先生、私は太っていないのに糖尿病なんですか?」

    多くの方は
    糖尿病=太っている人の病気
    というイメージを持っています。

    確かに肥満は糖尿病の大きな原因の一つです。

    しかし実際の外来では、

    痩せているのに糖尿病になる人

    は珍しくありません。

    特に日本人では
    欧米とは違う糖尿病のタイプが存在します。民族としての自身の体質の理解も重要です。

    今回は循環器内科・糖尿病診療に携わる立場から

    ・なぜ痩せていても糖尿病になるのか
    ・日本人に多い糖尿病の特徴
    ・将来の心筋梗塞や動脈硬化との関係

    について解説します。

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    「糖尿病=肥満」は本当か?

    ここがまず重要なポイントです。

    確かに世界的に見ると
    糖尿病の最大の原因は肥満です。やはりイメージが最初にいくのは肥満大国のアメリカ人でハンバーガーとコーラを持った方がではないでしょうか。

    特に欧米では確かに

    BMI
    30以上

    という高度肥満と糖尿病が強く結びついています。

    しかし日本では事情が違います。

    日本の糖尿病患者の平均BMIは

    約23〜25

    つまり

    肥満ではない人が多い

    という特徴があります。

    実際、診療の現場では

    「体重はむしろ軽い」
    「若い頃から痩せ型」

    という患者さんも珍しくありません。

    では、なぜこのようなことが起こるのでしょうか。

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    日本人は「インスリンを出す力」が弱い

    糖尿病には大きく2つの要素があります。

    ① インスリンが効きにくくなる
    (インスリン抵抗性)

    ② インスリンを出す力が弱い
    (インスリン分泌低下)

    欧米人の糖尿病は

    ①が強いタイプ

    つまり

    肥満 → インスリンが効かない➤糖尿病発症

    という構造です。

    一方、日本人は

    ②であり、そもそもインスリンを作り出す能力が弱くなる➤糖尿病発症

    という特徴があります。

    研究では、日本人は欧米人に比べて

    インスリン分泌能力が約半分

    とも言われています。

    そのため

    少し血糖が上がるだけでも
    膵臓が対応しきれず

    糖尿病になってしまうのです。

    裏を返すと日本人は欧米人のようにあそこまで太ることは頑張っても難しい人種なのです。

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    痩せ型でも起こる「内臓脂肪型糖尿病」

    もう一つ重要なのが

    隠れ内臓脂肪

    です。

    見た目が痩せていても

    ・運動不足
    ・デスクワーク
    ・筋肉量低下

    などにより

    内臓脂肪だけが増えている

    ケースがあります。

    これを

    TOFI(Thin Outside, Fat Inside)

    と呼びます。

    外見は痩せているのに

    体の中では

    ・インスリン抵抗性
    ・脂肪肝
    ・動脈硬化

    が進んでいる状態です。

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    痩せ型糖尿病が怖い本当の理由

    糖尿病の本当の問題は

    血糖値そのものではありません。

    問題は

    血管が傷むこと

    です。

    糖尿病があると

    ・心筋梗塞
    ・脳梗塞
    ・腎不全
    ・失明

    などのリスクが大きく上昇します。

    特に日本人では

    糖尿病と

    動脈硬化性疾患

    の関連が非常に強いことが知られています。

    つまり

    「痩せているから大丈夫」

    ではなく

    血糖値の異常を早く見つけること

    が重要なのです。

    Q&A
    Q 痩せていれば糖尿病の心配はありませんか?

    いいえ。
    日本人では痩せ型でも糖尿病になるケースが少なくありません。

    Q 健康診断の血糖が少し高いだけでも危険ですか?

    空腹時血糖100以上
    HbA1c5.6以上

    の段階から
    動脈硬化リスクは上昇すると言われています。

    Q 家族に糖尿病がいるとリスクは高いですか?

    はい。
    日本人の糖尿病では

    遺伝的体質

    が大きく関係します。

    ★当院の考え方

    糖尿病は

    「太っている人の病気」

    ではありません。

    むしろ日本人では

    痩せ型でも発症する体質

    が存在します。

    そのため当院では

    ・血糖
    ・脂質
    ・血圧
    ・動脈硬化

    を総合的に評価し、

    心筋梗塞や脳卒中を予防する医療

    を重視しています。

    健康診断で血糖値を指摘された方は
    早めの相談をおすすめします。

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    参考文献

    UK Prospective Diabetes Study (UKPDS)

    Japanese Diabetes Society Guidelines

    International Diabetes Federation Atlas

    このコラムの執筆者

    院長画像

    院長:茂澤 幸右
    糖尿病学会所属・循環器内科専門医


    循環器内科専門医として、糖尿病・高血圧・脂質異常症などの生活習慣病診療に従事。
    血糖や血圧の管理だけでなく、将来の心筋梗塞や心不全を防ぐ視点を大切に、
    日々の外来で患者さんと向き合っています。
    このコラムでは、健診結果の見方や最新の医療情報などを、
    外来で実際にお話ししている言葉で分かりやすく解説しています。

    【経歴】
    日本医科大学医学部 卒業
    日本医科大学大学院医学研究科(循環器内科学)修了

    【資格】
    医学博士
    循環器内科専門医
    内科認定医

    【所属学会】
    日本内科学会
    日本循環器学会
    日本心臓病学会
    日本糖尿病学会
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