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院長の生活習慣病コラム

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    2026/10/15

    高血圧が腎臓にもたらす悪影響——腎機能を守るための血圧管理と腎保護薬を循環器専門医が解説

    はじめに——「血圧と腎臓は別の話」ではない

    「先生、血圧の薬を飲んでいるんですが、最近健診でeGFRが下がってきていると言われました。これって血圧と関係ありますか?」

    外来でこう聞かれたとき、私は「大いに関係あります」とお答えします。血圧と腎臓の関係は、循環器内科専門医として最も重要視しているテーマの一つです。

    高血圧と慢性腎臓病(CKD)は、互いに悪化させ合う「最悪のパートナー」です。高血圧が腎臓を傷め、傷んだ腎臓がさらに血圧を上昇させる——この悪循環に一度入ると、適切な治療介入なしには抜け出すことが難しくなります。

    日本の透析患者数は年々増加しており、2022年時点で約35万人に達しています。その原因疾患の第2位が慢性腎臓病(糸球体腎炎を含む腎炎)であり、第3位が高血圧腎硬化症です。つまり透析の主要な原因の一つが「高血圧の管理不足」なのです。

    しかし良い知らせもあります。適切な降圧薬の選択——特にARB・ACE阻害薬とSGLT2阻害薬の組み合わせ——によって、腎機能の低下を大幅に抑制できることが、複数の大規模臨床試験で示されています。

    今回は、高血圧が腎臓に何をしているのか、そしてどうすれば腎臓を守れるのかを、循環器内科専門医として丁寧に解説します。

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    高血圧が腎臓を壊すメカニズム——糸球体高血圧から透析までの三段階 腎臓の「濾過装置」糸球体とは何か

    腎臓には約100万個の「糸球体」という微細な濾過装置があります。糸球体は毛細血管が糸玉のように集まった構造で、血液から老廃物・余分な水分・塩分を濾し取り、尿を作ります。

    健康な腎臓は1日約150リットルの血液を濾過し、そのうち約1.5リットルを尿として排泄します。この驚異的な濾過機能を担っているのが、糸球体という小さな構造体です。

    第一段階:糸球体高血圧——腎臓への「過剰な圧力」

    高血圧が続くと、全身の血管と同様に腎臓の血管にも高い圧力がかかります。特に問題になるのが「糸球体内圧の上昇(糸球体高血圧)」です。

    通常、腎臓には糸球体内圧を一定に保つ「輸入細動脈・輸出細動脈の自動調節機能」が備わっています。しかし慢性的な高血圧状態では、この自動調節機能が破綻し、全身の高血圧がそのまま糸球体に伝わります。

    糸球体は精密な濾過装置であり、高い圧力に耐えるようには設計されていません。糸球体内圧が慢性的に上昇すると、濾過膜(基底膜・ポドサイト)が物理的に傷んでいきます。

    第二段階:蛋白尿の出現——腎臓からの「SOSサイン」

    糸球体の濾過膜が傷むと、本来尿中に漏れ出てはいけないアルブミン(血液中のタンパク質)が尿中に排泄されるようになります。これが「蛋白尿・微量アルブミン尿」です。

    健診で「尿タンパク陽性」または「尿アルブミン高値」と指摘されたことがある方は、すでに糸球体へのダメージが始まっているサインです。

    微量アルブミン尿(尿アルブミン30〜300mg/g・Cr)は、腎臓病の最も早期の指標であり、同時に心血管リスクの独立した予測因子でもあります。尿アルブミンが30mg/g・Cr増加するごとに、心血管死亡リスクが約5〜7%上昇するという報告があります(Matsushita K, et al. Lancet, 2010)。

    外来で「健診で尿タンパクが出たと言われた」という患者さんには、私は必ず血圧管理の強化と腎保護薬の検討を行います。蛋白尿は腎臓と心臓、両方からのSOSサインだからです。

    第三段階:eGFRの低下——腎機能の不可逆的な喪失

    糸球体へのダメージが蓄積すると、糸球体が線維化・硬化していきます(糸球体硬化症)。機能する糸球体の数が減少し、腎臓全体の濾過機能——eGFR(推算糸球体濾過量)——が低下していきます。

    eGFRは年齢・性別・血清クレアチニン値から計算される腎機能の指標で、正常は60mL/min/1.73m²以上です。

    eGFR    ステージ   状態
    90以上   G1  正常または高値
    60〜89     G2  軽度低下
    45〜59     G3a  軽度〜中等度低下
    30〜44  G3b  中等度〜高度低下
    15〜29     G4  高度低下
    15未満     G5   腎不全(透析・移植を検討)

    eGFRは一度低下すると、多くの場合回復しません。しかし適切な血圧管理と腎保護薬によって、低下速度を大幅に遅らせることは可能です。「今のeGFRを守り続ける」という発想が、腎臓病管理の核心です。

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    腎臓が壊れると高血圧がさらに悪化する——「悪の三角形」の正体

    腎臓が壊れると血圧が上がるメカニズム

    高血圧が腎臓を傷めるのと同時に、傷んだ腎臓が高血圧をさらに悪化させます。この双方向の関係が「高血圧・腎臓病の悪循環」の正体です。

    腎機能が低下すると、以下のメカニズムで血圧が上昇します。

    ①ナトリウム・水分の排泄障害:
    腎臓はナトリウム(塩分)と水分を尿として排泄する主要臓器です。eGFRが低下すると、この排泄能力が落ちます。体内にナトリウムと水分が蓄積することで循環血液量が増加し、血圧が上昇します。「腎臓が悪いと塩分制限が特に重要」なのはこのためです(「塩分は血管を静かに蝕む」参照)。

    ②レニン・アンジオテンシン系の過活動:
    腎臓への血流が低下すると、腎臓はレニンというホルモンを分泌します。レニンはアンジオテンシンIIという強力な血管収縮物質に変換され、血圧を急激に上昇させます。これが「腎血管性高血圧」のメカニズムであり、腎機能低下患者に高血圧が悪化しやすい主因の一つです。

    ③交感神経の慢性活性化:
    慢性腎臓病では、腎臓からの求心性神経シグナルが交感神経を慢性的に活性化させます。これにより心拍数・血管抵抗が上昇し、血圧が高止まりします。

    塩分・高血圧・腎臓の「悪の三角形」

    この三者の関係を私は外来で「悪の三角形」と呼んでいます。

    ・高血圧→腎臓を傷める→ナトリウム排泄低下・レニン系活性化→さらに血圧上昇
    ・腎機能低下→塩分を排泄できない→体内ナトリウム過剰→血圧上昇→さらに腎臓を傷める
    ・塩分過剰→血圧上昇→腎臓へのダメージ→腎機能低下→塩分排泄がさらに低下

    この三角形のどこか一点に介入することが、悪循環を断ち切る鍵です。そして最も効果的な介入点が「血圧管理」と「腎保護薬の選択」です。

    高血圧性腎硬化症——自覚症状のない「静かな腎破壊」

    「腎臓が悪い」と聞くと、むくみや倦怠感などの症状をイメージする方が多いですが、高血圧による腎障害(高血圧性腎硬化症)の多くは自覚症状がありません。

    eGFRが30台になっても、多くの患者さんは日常生活にほとんど支障がありません。症状が出始めるのはeGFRが15〜20を下回る頃です。「症状がないから腎臓は大丈夫」という判断は、高血圧性腎硬化症においては非常に危険です。

    私が外来で高血圧患者さんの血液検査に必ずeGFRと尿アルブミンを含めるのは、「症状が出る前に腎臓の状態を把握する」ためです。数字でしか見えない腎臓の悲鳴を、定期的に確認することが腎保護の第一歩です。

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    腎臓を守る薬——ARB・ACE阻害薬とSGLT2阻害薬の腎保護効果 ARB・ACE阻害薬——「降圧以上の腎保護」をもたらす薬

    降圧薬の中で、腎保護効果が特に明確に示されているのがARB(アンジオテンシンII受容体拮抗薬)とACE阻害薬(アンジオテンシン変換酵素阻害薬)です。

    これらの薬は単に血圧を下げるだけでなく、以下の機序で腎臓を直接保護します。

    糸球体内圧の低下:
    ARB・ACE阻害薬はアンジオテンシンIIの作用を遮断・抑制します。アンジオテンシンIIは腎臓の輸出細動脈(糸球体から血液が出ていく側の血管)を強く収縮させる作用があります。この収縮が糸球体内圧を上昇させる主因であり、ARB・ACE阻害薬はこれを緩和することで糸球体内圧を直接下げます。

    蛋白尿の減少:
    糸球体内圧が低下することで、濾過膜へのダメージが軽減され、蛋白尿が減少します。RENAAL試験・IDNT試験では、ARBが血圧低下効果を超えて蛋白尿を有意に減少させ、透析への移行を遅らせることが示されました。

    抗炎症・抗線維化作用:
    アンジオテンシンIIには、腎臓の炎症・線維化を促進する作用もあります。ARB・ACE阻害薬はこの作用も抑制し、腎臓の構造的破壊を遅らせます。

    私の外来では、高血圧に蛋白尿・eGFR低下を合併している患者さんには、ARBまたはACE阻害薬を第一選択として使用しています。「どの降圧薬でも血圧が下がれば同じ」ではなく、「腎保護という追加メリットがある薬を選ぶ」という考え方が循環器内科・腎臓病管理の基本です。

    ただし注意点もあります。ARB・ACE阻害薬は腎機能が高度に低下している方(eGFR30未満)や高カリウム血症がある方では慎重な使用が必要です。また両薬の併用は高カリウム血症・急性腎障害のリスクがあり、現在のガイドラインでは推奨されていません。

    SGLT2阻害薬——腎臓医療に「革命」をもたらした薬

    ここ数年で、腎保護治療の概念を根本から変えた薬があります。SGLT2阻害薬(エンパグリフロジン・ダパグリフロジン・カナグリフロジンなど)です。

    もともと2型糖尿病の血糖降下薬として開発されたSGLT2阻害薬ですが、大規模臨床試験を通じて、糖尿病の有無に関わらず強力な腎保護・心保護効果を持つことが明らかになりました。

    SGLT2阻害薬の腎保護メカニズム:

    SGLT2阻害薬は腎臓の近位尿細管でのナトリウム・グルコースの再吸収を阻害し、尿糖・ナトリウムを尿中に排泄させます。この作用によって以下の腎保護効果が生じます。

    ①糸球体内圧の低下(輸入細動脈収縮):
    SGLT2阻害によってナトリウムが遠位尿細管に多く届くと、尿細管糸球体フィードバック(TGF)という機構が働き、輸入細動脈が収縮します。これにより糸球体内圧が低下し、糸球体への負担が軽減されます。ARB・ACE阻害薬が輸出細動脈側を緩めるのと対比的に、SGLT2阻害薬は輸入細動脈側を収縮させるという異なるメカニズムで糸球体内圧を下げます。

    ②体液量の減少・降圧効果:
    ナトリウム・水分の排泄が増加することで循環血液量が減少し、収縮期血圧が平均3〜5mmHg低下します。利尿薬に近い効果ですが、電解質異常が起きにくいという利点があります。

    ③体重・内臓脂肪の減少:
    糖分・カロリーが尿中に排泄されることで体重・内臓脂肪が減少し、インスリン抵抗性が改善されます。これも間接的に腎保護に貢献します(「なぜ内臓脂肪が増えると血圧・血糖・脂質が全部悪くなるのか」参照)。

    主要臨床試験の結果:

    CREDENCE試験(カナグリフロジン、2019年):
    糖尿病性腎臓病患者を対象に、カナグリフロジンが透析・腎移植・eGFR50%低下などの腎複合エンドポイントを標準治療と比較して30%減少させることを示しました(Perkovic V, et al. New England Journal of Medicine, 2019)。

    DAPA-CKD試験(ダパグリフロジン、2020年):
    糖尿病の有無に関わらず慢性腎臓病患者を対象に、ダパグリフロジンが腎機能悪化・末期腎不全・腎死・心血管死の複合エンドポイントを39%減少させることを示しました(Heerspink HJL, et al. New England Journal of Medicine, 2020)。特に非糖尿病性CKD患者でも効果が確認されたことが、腎臓病治療の概念を大きく変えました。

    EMPA-KIDNEY試験(エンパグリフロジン、2023年):
    広範なCKD患者(eGFR20〜45またはeGFR45〜90+蛋白尿)を対象に、エンパグリフロジンが腎病態の進行または心血管死を28%減少させることを示しました(The EMPA-KIDNEY Collaborative Group, New England Journal of Medicine, 2023)。

    これらの試験結果を受けて、現在の国際的なガイドライン(KDIGO2024)では、CKDを合併した高血圧・糖尿病患者に対してARB・ACE阻害薬に加えてSGLT2阻害薬を使用することが強く推奨されています。

    循環器内科専門医として私が感じるのは、SGLT2阻害薬は「糖尿病の薬」という枠を超えて、「腎臓と心臓を同時に守る薬」として位置づけが変わったということです。腎機能低下を合併した高血圧患者さんに対して、SGLT2阻害薬の導入を積極的に検討することが、現代の標準的な管理になっています。

    腎機能低下時の降圧目標——「下げすぎ」も危険

    腎保護の観点から、血圧を「どこまで下げるか」も重要です。

    CKDを合併した高血圧患者の降圧目標は、一般的に130/80mmHg未満とされています(KDIGO2024・JSH2023)。ただし高齢者・eGFRが著しく低下している患者では、過剰な降圧によって腎血流が低下し、かえって腎機能を悪化させるリスクがあります。

    ARB・ACE阻害薬を開始・増量した直後に、血清クレアチニンが一時的に上昇することがあります。これは糸球体内圧の低下によって一過性にeGFRが低下する現象であり、30%以内の上昇であれば薬の継続が推奨されています。しかし急激な上昇・高カリウム血症を伴う場合は減量・中止が必要です。

    「血圧の薬を飲み始めてから腎臓の数値が上がった」という患者さんが受診されることがありますが、これはARB・ACE阻害薬の典型的な初期反応であることが多く、適切な評価なしに自己中断することは腎保護の観点から望ましくありません。必ず主治医に相談してください。

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    当院での腎機能管理と診療アプローチ eGFRと尿アルブミンを軸にした早期介入

    当院では高血圧患者さんの定期血液検査に必ずeGFR・血清クレアチニンを含め、尿検査では尿アルブミン・尿タンパクを定期的に確認しています。

    特に重視しているのが「eGFRの経時変化」です。一点のeGFR値だけでなく、6ヶ月・1年での変化速度(slope)を追うことで、腎機能低下が加速していないかを早期に捉えます。年間のeGFR低下が3〜5mL/min/1.73m²を超える場合は、治療強化のサインです。

    尿アルブミンは腎臓の最も早期の障害指標であり、eGFRが正常でも尿アルブミンが増加し始めている段階でARB・SGLT2阻害薬を導入することが、腎機能を長期的に守る最善策だと考えています。

    循環器内科として「心臓と腎臓を同時に守る」視点

    循環器内科専門医として私が常に意識していることがあります。それは「心臓病と腎臓病は一つの病気の二つの顔」だということです。

    心腎連関(Cardiorenal Syndrome)という概念があります。心臓が悪くなると腎臓も悪くなり、腎臓が悪くなると心臓も悪くなる——この相互作用は、高血圧を背景に持つ患者さんで特に強く現れます。

    ARB・ACE阻害薬は腎保護だけでなく心保護効果も持ちます。SGLT2阻害薬はCREDENCE・DAPA-CKD・EMPA-KIDNEY試験いずれでも腎保護と同時に心血管死・心不全入院の減少を示しています。

    「血圧を下げる薬」「腎臓を守る薬」「心臓を守る薬」——これらを別々に考えるのではなく、「一つの薬で心臓・腎臓・血管を同時に守る」という発想が、現代の高血圧・CKD管理の核心です。

    南千住・荒川区で高血圧・腎機能低下・尿タンパクが気になる方は、ぜひ一度ご相談ください。eGFRの経時変化・尿アルブミンの評価から、腎保護薬の選択まで、循環器内科専門医として包括的にサポートします。Web予約は24時間受け付けています。

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    院長の結論

    高血圧と腎臓病の関係を20年近く診てきて、痛感することがあります。「eGFRが下がり始めてから来院する患者さんが多すぎる」ということです。

    尿アルブミンが増え始めた段階——まだeGFRが正常な時期——からARBとSGLT2阻害薬を組み合わせて介入すれば、透析への移行を10〜20年単位で遅らせることができる可能性があります。しかし「症状がないから」「eGFRはまだ正常だから」という理由で放置されると、その機会を失います。

    腎臓は沈黙の臓器です。自分から症状を出しません。だからこそ血液検査・尿検査という「数字」で定期的に声を聞いてあげることが、腎臓を守る唯一の方法です。

    高血圧の管理は血圧の数字だけを追うものではありません。心臓・血管・腎臓という「三つの臓器を同時に守る」という視点が、本当の意味での高血圧管理です。

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    ★まとめ

    ・高血圧は糸球体高血圧→蛋白尿→eGFR低下という三段階で腎臓を破壊します。日本の透析原因の上位に「高血圧性腎硬化症」が挙げられており、高血圧管理が腎保護に直結します

    ・傷んだ腎臓はナトリウム排泄低下・レニン系活性化・交感神経活性化を通じてさらに血圧を悪化させます。高血圧・腎臓・塩分の「悪の三角形」を断ち切ることが治療の核心です

    ・ARB・ACE阻害薬は輸出細動脈を緩めて糸球体内圧を下げ、蛋白尿を減少させ、腎機能低下速度を遅らせます。「降圧以上の腎保護効果」がある第一選択薬です

    ・SGLT2阻害薬はCREDENCE・DAPA-CKD・EMPA-KIDNEY試験で糖尿病の有無に関わらず腎複合エンドポイントを30〜39%減少させることが示されました。現在はCKD合併高血圧の標準治療の一つです

    ・尿アルブミンはeGFRが正常な段階でも出現する最早期の腎障害サインです。定期的な尿検査による早期発見・早期介入が腎機能を長期的に守ります

    ・循環器内科専門医の視点では、ARBとSGLT2阻害薬は腎保護と心保護を同時にもたらす薬です。「心臓と腎臓を同時に守る」一貫した治療戦略が現代の標準です

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    ★よくあるご質問(FAQ)

    Q➤ 健診でeGFRが55と言われました。高血圧との関係はありますか?
    A➤ 関係があります。eGFR55はCKD G3aに相当し、軽度〜中等度の腎機能低下です。高血圧が長年続いていた場合、糸球体高血圧による腎硬化が背景にある可能性があります。尿アルブミン・血圧コントロールの状況を確認し、ARBまたはACE阻害薬による腎保護治療の導入を検討すべき段階です。放置すると年間1〜3mL/min/1.73m²ずつeGFRが低下していく可能性があります。

    Q➤ 血圧の薬(ARB)を飲み始めたらクレアチニンが上がりました。やめた方がいいですか?
    A➤ 自己中断する前に必ず主治医に相談してください。ARB・ACE阻害薬開始後のクレアチニン軽度上昇(30%以内)は、糸球体内圧が低下したことによる生理的反応であり、長期的には腎保護につながることが多いです。ただし急激な上昇・高カリウム血症を伴う場合は減量・中止が必要なケースもあります。数値だけで判断せず、専門医の評価を受けてください。

    Q➤ 糖尿病はないのにSGLT2阻害薬を処方されました。なぜですか?
    A➤ SGLT2阻害薬は現在、糖尿病の有無に関わらずCKD・心不全に対して腎保護・心保護効果が認められており、非糖尿病患者への処方が増えています。DAPA-CKD試験では非糖尿病性CKD患者でも腎複合エンドポイントを有意に減少させることが示されています。「糖尿病の薬」という認識は古く、現在は「腎臓と心臓を守る薬」として位置づけが変わっています。

    Q➤ 高血圧と腎臓病がある場合、塩分はどのくらいに制限すべきですか?
    A➤ CKDを合併した高血圧患者では、塩分制限の効果が特に大きいとされています。目標は1日6g未満(KDIGO・JSH両ガイドライン共通)ですが、腎機能低下が進んでいる方(eGFR30未満)では3〜5g未満が推奨されるケースもあります。ただしカリウムの制限も必要な場合があるため(野菜・果物の過剰摂取に注意)、個別の食事指導が重要です。必ず主治医・管理栄養士と相談してください。

    Q➤ 南千住・荒川区でeGFR低下と高血圧を同時に診てもらえる病院はありますか?
    A➤ 茂澤メディカルクリニック南千住では、高血圧とeGFR低下・尿タンパクを合併した患者さんに対して、循環器内科専門医の視点からARB・SGLT2阻害薬を組み合わせた腎保護・心保護治療を行っています。eGFRの経時変化・尿アルブミンの定期モニタリングも実施しています。Web予約は24時間受け付けています。

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    参考文献

    日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2023(JSH2023)」
    日本腎臓学会「CKD診療ガイド2024」
    KDIGO 2024 CKD Guideline. Kidney International, 2024.
    Perkovic V, et al. “Canagliflozin and Renal Outcomes in Type 2 Diabetes and Nephropathy(CREDENCE).” New England Journal of Medicine, 2019.
    Heerspink HJL, et al. “Dapagliflozin in Patients with Chronic Kidney Disease(DAPA-CKD).” New England Journal of Medicine, 2020.
    The EMPA-KIDNEY Collaborative Group. “Empagliflozin in Patients with Chronic Kidney Disease(EMPA-KIDNEY).” New England Journal of Medicine, 2023.
    Matsushita K, et al. “Association of estimated glomerular filtration rate and albuminuria with all-cause and cardiovascular mortality.” Lancet, 2010.
    Brenner BM, et al. “Effects of losartan on renal and cardiovascular outcomes in patients with type 2 diabetes and nephropathy(RENAAL).” New England Journal of Medicine, 2001.

    このコラムの執筆者

    院長画像

    院長:茂澤 幸右
    糖尿病学会所属・循環器内科専門医
    日本医科大学付属病院 循環器内科 非常勤講師


    循環器内科専門医として、糖尿病・高血圧・脂質異常症などの生活習慣病診療に従事。
    血糖や血圧の管理だけでなく、将来の心筋梗塞や心不全を防ぐ視点を大切に、
    日々の外来で患者さんと向き合っています。
    このコラムでは、健診結果の見方や最新の医療情報などを、
    外来で実際にお話ししている言葉で分かりやすく解説しています。

    【経歴】
    日本医科大学医学部 卒業
    日本医科大学大学院医学研究科(循環器内科学)修了

    【資格】
    医学博士
    循環器内科専門医
    内科認定医

    【所属学会】
    日本内科学会
    日本循環器学会
    日本心臓病学会
    日本糖尿病学会
    医師イラスト
    内科・生活習慣病のご相談

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